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喫茶ま・ろんど

TSFというやや特殊なジャンルのお話を書くのを主目的としたブログです。18禁ですのでご注意を。物語は全てフィクションですが、ノンフィクションだったら良いなぁと常に考えております。転載その他の二次利用を希望する方は、メールにてご相談ください。

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自業自得と墓穴掘り1

「――というわけで、俺がインチキだと言ってたあの薬の効果が証明されたわけだよ……」
 明らかにサイズの合っていないジーンズとヨレヨレのTシャツ。その組み合わせだけでも、およそ女性の服装としてはかなりの違和感があった。
 しかしそれ以上に、ブラをしていない事が見てとれる胸元が、その場の気まずさを作り出していた。


「あ、あぁ、そうだな、俺の言ったとおりだっただろ。あの薬は本物だって。」
 Tシャツの表面に浮かんだ乳首の突起のせいで啓介は誠の方に目を向ける事が出来ず、不自然に目をそらしたまま言葉を返した。
「こんなバカな薬が本当に本物とか……。マジどうすりゃ良いんだよぉ……」

「性転換薬? そんな薬インチキに決まってんだろ。高い金出して、バカじゃねえの?」
「マジ本物だって。疑うんなら飲んでみろよ」
「な、なんで俺が飲むんだよ。買ったのはお前だろ」
「だって偽物なら何も起きるわけ無いだろ? お前が偽物だと思うんなら安心して飲めるわけじゃん」

 ……と、そんな会話が繰り広げられたのがほんの三十分前。その結果が啓介の前に座って目に涙をためている女の子という訳だ。
 誠が女になったらラッキーだぜ、などと気楽に考えていた啓介も、実際に目の前で女の子――それも割と可愛い――になられてしまうと、戸惑いしか沸いてこなかった。
 そのまま沈黙がいつまでも続くかと思われたが、やがて、気まずさをごまかすためか、ようやく啓介が口を開いた。
「ま、そ、そんなわけだから、約束通りよろしく頼むぜ」
 約束と言われて何の事か誠は頭をひねる。
 やがて、三十分前に滑らせた自分の発言を思い出し、ようやく顔を青ざめさせた。

「もし本物だったら、貴重な薬をお前が飲んだって事で、何かしてもらうからな」
「な、何かってなんだよ?」
「そうだなぁ。本物だったら女の子になるわけだから……。やっぱ証拠に裸くらいは見せてもらわないとな」
「な……! ま、まぁ、本物な訳が無いからな。何でも好きにすれば良いさ。その代わり、偽物だったら俺の言う事を何でも聞いてもらうぜ」

「あ、い、いや、あれはその、なんと言うか勢いという奴で……」
 そんな言い訳で納得しないだろうなあと後悔しながら、誠はどうやってここから逃げ出そうか考えた。
 しかし、啓介の反応は誠の予想に反するものだった。
「ん、そ、そうだよな。それにほら、この薬瓶に書いてあるし。効果は三時間程度で解除されます、って。それまでゆっくりしてようぜ」
 予想外の反応に誠は首をかしげる。
 さっきまではあんなにノリノリだったというのに、いざここまで来て、一体何を遠慮しているのか。
 確かにその方が誠としては助かるのだが、腑に落ちないのも確かだった。
「どれ。ちょっと貸してみろよ」
 誠は身を乗り出して、啓介が手に持つ薬瓶へと手を伸ばした。
 すると啓介は、誠に触られないよう不自然に体をかわし、薬瓶を投げ渡してきた。
「……なんだよ」
「い、いや、別に……」
 啓介の不自然な行動が面白くない誠は、ラベルの注意書きにさっと目を通すと、薬瓶をテーブルに置き啓介の方に向き直した。
「さっきからなーんか変だな。お前」
「え、そ、そうか? そんな事、無いだろー」
 怪訝そうな表情のまま誠は啓介に顔を近づけた。
 すると啓介は、まるで磁石が反発するように同じだけ後ろに下がり、誠と距離を保とうとした。
「……なんで逃げるんだよ」
「い、いや、なんつうかその……」
 実はこの時点で、誠は薄々感じていた。啓介もまさかこの薬で本当に女になるとは思ってなかったんじゃあないか、と。
 それが、いざ飲んでみると本当に女になってしまったため、戸惑っているのではないのか、と。

「なぁ、啓介」
「な、なんだよ……」
 返事はするが、声はぎこちないし目も合わせようとしない。
 誠の疑問はもはや確信へと変わっていた。
 そしてその確信は、啓介をからかって遊ぶという考えを誠の中に生み出した。
「せっかく女になったんだからさ、おっぱいぐらい揉んでみろよ」
「な、何言ってんだよ! べ、別にいいよ!」
 予想通りの反応に誠は顔をにやけさせた。先ほどまで自分が圧倒的に不利な立場にいると思っていたのが、実際には全く逆だったのだ。
 それは、誠を調子に乗らせるには充分な事実だった。
「何照れてんだよ、俺が良いって言ってんだから触ってみろよ」
 誠はそう言いながら啓介の手首をつかみ、自分の胸に持って行った。
「な、や、やめろって!」
 慌てて腕を引こうとした啓介だったが、反応が一瞬後れ、誠の大きく膨らんだ胸に手のひらを持って行かれてしまった。
「ほら、どうだ? なんか感想言ってみろよ」
 啓介の抵抗は最初の一瞬だけで、胸に触れてからは逆に、何も言っていないのに勝手に揉んでいた。
 その手の動きに誠は、結局こいつも興味あったんじゃあないかと、内心苦笑していた。
「あ、あぁ、そうだな。本当に胸だな……」
 わけの分からない啓介の言葉に誠は吹き出した。しかしそれは、啓介がよっぽど緊張している事の表れだった。
「なんだよ、それ。当り前じゃん。そうじゃなくて、こう、柔らかさはどうとか、大きさはどうとか、あるだろ?」
「え、あ、そうだな。大きさは……たぶん大きくて……っていうか……」
「ん?」
 啓介が何か言い淀んだのを感じとり、誠は首をかしげた。流石に何が言いたいのか分からず、額にしわを寄せ、いかにも怪訝そうな表情であった。
「っていうか、その……。揉んだ事無いから、どっちが柔らかいかとか分からねぇよ……!」
 その言葉を聞いて誠は合点がいった。道理でこれほどまでに緊張する訳だ、と。
 しかし、そうと分かればますますからかいたくなってくるというのが人というものだ。
 誠は一層表情を明るくし、啓介をからかう事を心に決めた。
「なんだよ、お前、童貞だったのかよ!?」
 啓介に対して優位に立てる要素を見つけた誠は、いかにもわざとらしく、仰々しく驚いて見せた。
 そんな誠の態度が鼻についたのだろう、誠は顔をしかめ、少しいらっとした様子で誠に言葉を返した。
「だったら悪いのかよ。大体お前だって経験なんかありゃしないだろ」
 期待していた啓介の言葉に、誠はそら来たと口角を上げて即座に反論した。
「そう考えるのが童貞の浅はかさという奴よ。言ってないだけで、ちゃーんとやるこたぁやってるんだぜ」
 その言葉がよほどショックだったのか、啓介は目を見開いたかと思うと、突然うなだれ動かなくなった。
 浮いた話を全くしてこず、同じ童貞仲間だと思っていた誠に出し抜かれていたのがよほどショックだったのだろう。
 良く見てみれば、体全体がプルプルと小刻みに震え、言葉に出さなくても相当に悔しい様子が伝わってくる。
「裸だ……」
「え?」
 聞こえるか聞こえないか、という本当に小さな呟きだった。
 誠には何を言っているのか聞きとれず、聞き返す事しか出来なかった。
「ええい! 裸を見せろと言ってるんだ! お前ばっかり勝手に卒業しやがって! せめて女の裸ぐらい見ておかんとやっておれんわ!」
 別に啓介と誠は童貞同盟を結んでいるわけではないのだが、そんな反論をしたところで今の啓介の耳のは届かないだろう。
 むしろ、反論などしたら火に油というものだ。
 こうなるともう、誠が脱がなくては場の収まりがつかないというものだろう。
 あのまま大人しく時間が過ぎるのを待っていればよかった、と、誠は自分の軽率な発言に今更ながらに後悔していた。

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